銭湯サウナってやっぱり面白い。今回もたくさんの発見がありました。

銭湯のオープン時間を最優先事項にしてスケジュールを組み立てると、一日のスタートは自然と早くなる。
10時に家の用を済ませてから10時30分には街に繰り出す。そして11時台にはお昼を済ませて銭湯の最寄りのカフェへと向かう。
このあとにサウナが待っていると思うと、足のむくみも額ににじむ汗も恐るるに足らず、ずんずん歩ける自分が頼もしい。
多くの銭湯は15時30分スタートだが、15時にオープンする飯田橋「第三玉乃湯」はせっかちな私にありがたい。
「わっ、レトロ〜」な電光掲示板に目を取られてから視線を入口へとうつすと、旅館のような渋い看板のギャップにキュン。
14時50分に到着した時点で先客万来、その人気が伺える。

激しすぎるぜ、ジェットバス
サウナの前に、まずは身体を洗ってお風呂へ。
仲の良さそうなお二人のおばあちゃまがジェットバスに身を委ねながら穏やかに談笑している。
うわぁ、良い光景。私もぜひその一員に・・・と、ジェットバスへ移動して「使用する」ボタンを押したらたまげた。
ドコドコドコドコ・・・
私の背中、いま和太鼓になりましたか?ふんどしを締めた恰幅の良い男衆にバチで激しく叩かれているかのような勢いありあまるジェットだ。
これは強い、強いぞ。左右の手すりをしっかり掴まないと、身体をぎゅんって前に持っていかれます。
人生の諸先輩方はあんなに涼しい顔だったのに、自分、まだまだ経験不足でした・・・。
しかし体はあったまり、満を持してサウナへ向かう。
派手さはゼロ、日常寄り添い系サウナ
サウナ室に入ってまず思ったこと、それは「無」だ。
オルゴールJ-POP、聞いたことのない洋楽ラップ、東南アジアの寺院で朝に流れていそうな瞑想ミュージック。
サウナ室のBGMはバラエティーに富み、何が好き論争は盛り上がるトークテーマの一つですが、第三玉乃湯は無。BGMなしである。
その潔さはオートロウリュといった付加コンテンツがない、ごくありふれたサウナストーブからも感じられる。
オートロウリュって時に諸刃の剣で、サウナ室の中くらいは時間を忘れたいはずなのに「あと3分でオートロウリュだ、少し待とう」といった理性を取り戻すきらいもあるわけで。
その点、第三玉乃湯のサウナはいつ何時でも、これ以上でも以下でもない、凪のように変わらぬサウナと時間を提供してくれている。
よし。今日は下段に座り、長めにじっくり蒸されることにする。ロウリュもないのに何故か乾燥感の少ないサウナによって心地よくあふれる汗が、肌を軽やかにすべった。
先ほどのお風呂の様子をみて常連さんが多いアットホームな銭湯なのだと定義つけていたが、サウナ室で話す人は誰もいない。
こちら、なんとも品があります。
水風呂の後、ととのいたい心と身体をどう料理するか
水風呂は4人くらいが入るこぢんまりとしたスペースで、お互いの配慮が阿吽の呼吸をうみ、静かに場所を譲り合う。
水温は18度くらいだろうか、初夏を感じる6月にはちょうど良くて、この銭湯はサウナビギナーの方を連れてきたくなる場所だとますます確信を強くした。
さて、ここからが第三玉乃湯の遊びどころ。
何を隠そうここにはととのい椅子がない。サウナ→水風呂の後の体験価値を自ら作る必要がある。つまり、ちょっと燃える。
まず私がロックオンしたのは露天風呂。
浴槽・奥のヘリに女性一人分のお尻がちょうどおさまるスペースを見つけて、そこでまずは体育座り。外気も感じられて良い感じ。
ただ、ほかに露天風呂を利用する方がいると特等席を独り占めしている気がしてちょっと申し訳ない。移動しよう。
次は浴場の椅子だ。
バスタオルを深く被り、真っ白に燃え尽きた「明日のジョー」ポーズでうなだれる。うん、これも良い。
・・・けど周りからしたら心配されちゃう格好でもあるのかも。
「あなた、大丈夫?具合悪いの?」
と自分の妄想が生み出した常連おばあちゃんが心配そうに声をかける。やっぱりここも違うかぁ。
すると残すところは・・・
日常と非日常の狭間で心置きなくたゆたう
ほかの銭湯でも結構好きな休憩スペース。それは脱衣所だ。
事前に、第三玉乃湯の脱衣所には良い感じのソファがあることをチェックしていた。
水風呂を上がったら最低限の服を着てそのままソファにて、あぐら。
ここだ・・・本日の正解はここです・・・!
周りに心配をかけず、自分の楽な姿勢で心置きなく休んでフィニッシュ。
脱衣所は日常と非日常の狭間にある場所だと思う。
服を脱ぎ、社会的役割をロッカーに置いてこれから癒やされる人もいれば、ほかほかした表情を浮かべてゆるやかに生活に戻っていく人もいる。
そんな人たちが交錯している不思議な空間。
そこで交わされる会話に、わたしは耳を澄ませる。ラジオのつまみを回して面白い番組がないかザッピングするように。
男性側から聞こえる声、テレビの音などをひとしきり聴いた後に、今日は女性2人組の「寿命と巻き爪」の話に耳の照準を合わせた。
そして楽しく展開されていた会話からふいに放たれた「じゃっ、また来週ね〜」という言葉に、私の意識は現実に引き戻された。
そうか。私たちには平凡な来週が、何もせずとも当たり前にやってくる。
閉じていた目を開けソファを立ち上がった私は、ペットボトルの水を一気に飲み干した。胸に一握りの温かみを感じながら。
- 第三玉乃湯
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所在地
新宿区白銀町1-4
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最寄駅
牛込神楽坂
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電話番号
03-3260-9326
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※本記事は2025年07月01日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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