海苔づくりは大森で始まった

▲現存する最後の「海苔船」と「べかぶね」(国の重要有形民俗文化財)
日本の海苔づくりは、江戸時代享保の頃(1716~36年)に始まりました。
特に浅瀬が広がっていた大森周辺は海苔の産地として発展し、ここから各地に海苔づくりが伝わったといいます。
ところが、大森の海苔作りは、突然その歴史を閉じることになります。
東京の沿岸部の埋め立て計画のためでした。1963年のことです。
「大森 海苔のふるさと館」では、当時の海苔作りの様子を知ることができます。
現存する最後の船(国の重要有形民俗文化財)や、海苔づくりに使った道具が展示されている他、当時の様子を撮影したビデオを見ることができます。
おじいちゃんが孫に語る形で作られたこのビデオは、なかなかに引き込まれる内容でした。

▲ライブラリーコーナーには絵本も展示されていて、小さな子どもを連れた家族も訪れていた
海苔づくりは厳寒期。命を落とすこともある重労働だった

▲海苔を育てる「ヒビ」を海底に刺して立てるために、海苔下駄で海に入った
現在は、「海苔網」で海苔を育てますが、それ以前は海中に「ヒビ」と呼ばれる棒を立てて、そこで海苔を育てていました。
ヒビを海底に差し込む作業をするときに履く「海苔下駄」と「振り棒」の体験コーナーがあり、実際に海苔下駄の上に乗ってみることができます。
これで海の中を進むだけでも大変そうです。
大森から種付けに千葉に船で渡る際には、船が難破して命を落とす人も少なくなかったとのこと。そんな危険な海苔づくりに関わった人たちの証言も展示されていました。
海苔の収穫は、11月から3月。
海苔はヌルヌルと滑るので、そんな寒い時期でも腕を肩の近くまで海に浸して、素手で収穫したといいます。考えただけでも、寒そうです。
企画展や親子で楽しめるイベントも

▲写真展「冬の海と昭和の海苔養殖」は4月14日まで開催中
私が訪れた時は、2階で「冬の海と昭和の海苔養殖」という企画展が開催されていました(2024年4月14日まで)。
また、干しのり作り体験など、親子で参加できるイベントも月に2回ほど開催されているので参加してみるのもおもしろそうです。
3階は展望室とテラスがあり、目の前に大森ふるさとの浜辺公園が広がります。
砂浜や干潟があり、カニやハゼなどがいるとのこと。
広場では、子どもたちが長さ30mの大きな滑り台を楽しんでいました。

▲3階展望室からの眺め
大森駅から自転車がおすすめ!

▲大森には、今も海苔問屋がこんなに!
大森駅からはバスもありますが、駅前でレンタサイクルを借りることもできます。
自転車で10分ほどの道のりです。
駅に戻る際には、旧東海道の「美原通り」に寄ってみましょう。
このあたりには海苔問屋が今もかず多く残っていて、一般に販売しているお店もあります。
また、和菓子の大黒屋さんでは、のり大福が評判とのこと。
売り切れていて食べることができませんでしたが(残念!)。

▲美原通りにある大黒屋さん。「のり大福」ののぼりが立っていました
2017年、お父さんがかつては海苔漁師さんだったという方とお話する機会がありました。
「父や仲間は、今でもやはり海苔作りに未練があるんですよね」とおっしゃっていました。
身近な乾物「海苔」、でも意外と知らない海苔。
大森で、改めて海苔について学んでみませんか?
大森 海苔のふるさと館 情報
大森 海苔のふるさと館(東京都大田区平和の森公園2-2 Tel 03-5471-0333)
ホームページ
開館時間
午前9時から午後5時まで (ただし、6月から8月は午前9時から午後7時まで)
月曜定休、年末年始休み
入館料 無料
アクセス
JR大森駅東口9番線乗り場から「平和島循環」バス、平和島五丁目下車徒歩3分
大森駅にdocomo貸し自転車あり
京急線平和島駅あるいは東京モノレール流通センター駅から徒歩15分
- 大森 海苔のふるさと館
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所在地
大田区平和の森公園2-2 大森ふるさとの浜辺公園内
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最寄駅
平和島
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電話番号
03-5471-0333
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※本記事は2024年01月25日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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