気持ちいいなら、年齢も、国籍も関係ないよね。サウナに生まれた小さなユニバース/湊湯

赤、青、黄色、緑の看板コントラストは意図的なのか、はたまた

▲赤、青、黄色、緑の看板コントラストは意図的なのか、はたまた

急にぽっかりと時間が空いてしまった雨降りの2時間、日比谷。


数年前の私だったらカフェに行って甘いものを食べるか、ウィンドウショッピングをするか…

だったけど今はちょっと違う。


「そうだ、サウナ行こう。」

そう思うと足取りも軽くなり、胸がポッと明るくなってくる。



私の趣味はサウナだ。


週に1回ほど行く生活を5年くらい続けている。飽きっぽい私がサウナに通い続けているのは、毎回不思議と新鮮な発見があるからで、その日訪れた八丁堀・湊湯もそうだった。

立て看板背後のシュワシュワ気泡がとても上品

▲立て看板背後のシュワシュワ気泡がとても上品

物語は建物に入る前からはじまっている。



看板の後ろには細やかな気泡なライトアップ。「なんだか品を感じるなぁ…」を思いながらエントランスを抜けると、目の前に広がる景色にハッとした。


視界に飛び込んでくる暖簾の奥にもライトアップ気泡が…!

これはサウナ界の青い鳥かな?と、私はライトに導かれるように女湯の暖簾をくぐった。


浴場全体は黒に近いダークグレーが基調となって落ち着きがあり、ライティングも主張しすぎず良い感じ。


16時の洗い場はにぎわっていて,近所の人たち同士が集まって挨拶を交わしている。

湊湯の立地は銀座や日本橋を有する中央区。だけれど聞こえる会話はスーパーの話だったりして、生活の営みの中に銭湯が位置付けられているのだとわかってほっこりする。



サウナ室へはピンク色の鍵をドアノブに差し込み入室。


TVがある点は“ザ・大衆銭湯”だが部屋の明るさがかなり暗め+オートロウリュも完備されているので、サウナ好きのハートをグッと掴んでくれる。


サウナ室にTVがあるのは賛否両論だが、私は結構好きだ。

それ番組との偶発的な出会いと、全く知らない人のリアクションからみえる価値観の豊かさがあるから。


この日に流れていたのは子役オーディションの密着番組。7歳から12歳くらいの子たちが憧れの舞台に立つという夢を叶えるべく、セリフの一節までを猛練習する。


「すごい…めちゃくちゃ厳しい世界だなぁ」


と少し心配するような気持ちで見てしまったのだが,一緒にみていた外国人の方はクスッと笑っている。


えっ、どこで何を感じたの?とつい聞きたくなってしまうくらいのこのギャップ…!

私も深刻な気持ちで見るのではなく、もっと素直に応援しようと気持ちを切り替えた。


ロッキーサウナは10分も経たずにしっかり身体を温めてくれ、水風呂、そして休憩イスへ。


さっき一緒にサウナに入った外国人の方と素っ裸で横並びになり、お互い目をつむる。


ふと椅子に人が近づく気配を感じたが、私は絶賛休憩堪能中でなかなか立ち上がれない。

一方、外国人の方それは軽やかに席を譲られた。国境を越えた心遣いに、1人密かに感動した(なお私は立てないでいた)。


2セット目のサウナでは番組も終盤へ、いよいよオーディションの結果発表だ。

何度もオーディションを受け、遊ぶ時間も削って練習に明け暮れていた子は見事役を勝ち取った。

よかったねぇ…!!本当におめでとうございます。心置きなくサウナをでた。


浴場を出ると先ほどの外国人がタオルでおへその中を丁寧に拭いてきた。

32年間生きてきたけど、お恥ずかしながらおへその中って拭いてこなかった。私の中の「丁寧な暮らし」が一つ、アップデートされる。



サウナは年齢も、国籍も関係ない。

そして今、その瞬間だけ生まれる小さなユニバースがサウナ室には広がっている。


湊湯を出ると雨はすっかり上がっていた。心地よい涼しい風が私の頬をそっと撫でて、私は次の目的地へと向かう。

暖簾の先への期待感を高める美しいライトアップ

▲暖簾の先への期待感を高める美しいライトアップ

湊湯
  • 所在地

    中央区湊1-6-2

  • 最寄駅

    八丁堀

  • 電話番号

    03-3551-0667

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